俳諧ガイド 目録

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俳諧のあらまし

俳諧のあらまし 索引

俳諧とは用語俳諧資料

 

俳諧
俳諧とは

 当サイトで言う俳諧は、古事記・日本書紀・万葉集の唱和・俳諧歌、平安の俳諧歌・連歌、鎌倉の長連歌をへて、貞享・元禄に松尾芭蕉によっ て完成された連句形式の文芸である。

 「俳諧」を辞書で引くと、概ね次の通り。

「俳諧」
広辞苑

はい-かい【俳諧・誹諧】 ①おどけ。たわむれ。滑稽。下学集「俳諧、ハイカイ、戯義」。 ②俳諧歌の略。 ③「俳諧の連歌」の略。 ④俳句(発句)・連句の総称。広義には俳文・俳論を含めた俳文学全般を指す。

 広辞苑で言えば③「俳諧の連歌」を経た④「発句・連句の総称」となる。④「俳句(発句)・連句の総称」は、「俳句(単独の発句)及びそれ以外の連句の総称」ではない。「発句単独または発句に始まる連句の総称」である。発句は連句の一部だから、単に連句と言えばよい。

 しかし、俳諧は連句の一形態である。俳諧は連句であるが、連句は必ずしも俳諧ではない。

「連句」
広辞苑

れん-く【連句】[俳諧の連歌]の別称。発句が一句独立に作られるようになったので、これと区別し、また連歌とも区別して、俳諧の付合や歌仙・百韻・千句などをこう呼ぶ。


れん-く【聯句】(古くはレング)①幾人かの人が一句ずつ作ったものを集めて一編の詩とすること。また、その漢詩。聯詩。②律詩の対句。③対句


 ※「聯」は常用漢字に含まれないため、「連」が用いられ、「連句」と書かれる。 

 「発句が一句独立に作られるように」なり、俳句と呼ばれるようになったのは、明治以後で、「連句」は「俳句」や「連歌」と区別して用いられた。

 当サイトは、芭蕉の俳諧を扱うという立ち場から、俳句と区別するために用いられる「連句」と言う語を用いる必要を感じない。また、「俳諧風雅の道」とは言うが、「連句風雅の道」とは言えない。「古式連句」では意味が分からない。
 「俳諧」をすべて「連句」と言い替えることはできない。また、単独で「連句」と言うとき、違和感を伴う。
 ・ 上記のように、漢詩にも「聯句」があり、現代は「連句」と書く。
 ・ また、先行して「連歌」がある。連「歌」を「五七五の上の句と七七の下の句を交互に連ねたもの」と説明することがある。そして、「連歌」という熟語の成り立ちに沿って「連句」を解釈すれば、「五と七と五を交互に連ねたもの」となる。これでは児戯の「三人一茶」になってしまう。
 当サイトでは、単独の発句と取り立てて区別する場合のみ、「連句」と言う。

 現代の名著に「連句入門、東明雅著(昭和53(1978)年稿、中央公論社)」があるが、書名に連句の語があるにもかかわらず、本文は一貫して「俳諧」と書き、必要に応じて「俳諧(連句)」としてある。この態度を見習いたい。

 

 「俳諧」を連句」と言うと、「俳諧の連歌」も「連句」に含まれてしまう。芭蕉は、「俳諧」と「俳諧の連歌」を明確に区別していた。古式の俳諧を興行した際、誤解を防ぐため、必ず「俳諧の連歌」と、詞書きに書いていたのである。

「俳諧の連歌」
広辞苑

--の-れんが【俳諧の連歌】連歌の一体。古く座興の言い捨てとして行われていたが、室町末期、山崎宗鑑・荒木田守武らの頃から盛んになった卑近・滑稽を旨とする連歌。江戸時代に入って、貞門・談林・蕉風などの諸流が起った。後には「俳諧」とのみいった。はいかいれんが。

 芭蕉一座の「俳諧の連歌」は、2巻ある。「涼しさのの巻(貞享2(1685)年6月)」は、百韻であるが、初折10句、名裏6句で、七花七月という古い形式。もう一つは、「木の本にの巻(元禄3年3月)」の四十句で、未完である。

 →「俳諧の形式と芭蕉、古式百韻」参照。

 以上のことから、俳諧とは、以下のとおりである。
 ・ 俳諧は、俳諧の連歌を経て、芭蕉が完成させた文芸の様式である。(俳諧の連歌を含まない)
 ・ 俳諧は、発句に始まる連句の総称である。(発句単独を含む)
 また、連ねる句数は次のとおりである。
 ・ 百韻が百句・五十韻が五十句・世吉が四十四句・歌仙が三十六句。

→ 「芭蕉翁出座俳諧一覧」を参照

 ・ その他、1句物(発句単独)・2句物(発句と脇の付合)・3句物(発句・脇・第三の付合、三物)・6句物(初折表、表合せ)・18句物(半歌仙)などがある。

→ 「俳諧の形式」を参照

 なお、「はいかい」は「俳諧」の字を用い、適宜「誹諧」も用いる。
 ・ 俳諧の二字もしかるべきこと。 → 「二十五箇条、はいかい二字のこと」参照
 ・ 「誹」に「はい」の音があること。 → 「俳諧埋木、宗祇言はく」参照
参考:辞典などの説明
歴史民俗
用語辞典

読み方:ハイカイ(haikai)
室町時代から江戸時代、流行した連歌の一体。
別名 俳諧連歌(はいかいれんが)

ウィキペディア
Wikipedia

俳諧(はいかい)とは、主に江戸時代に栄えた日本文学の形式、また、その作品のこと。誹諧とも表記する。正しくは俳諧の連歌あるいは俳諧連歌と呼び、正統の連歌から分岐して、遊戯性を高めた集団文芸であり、発句や連句といった形式の総称である。

三省堂
大辞林

〔「俳諧の連歌」の略〕 日本独自の短詩形文芸形式の一。「座(共同体)」の意識のもとに成立し,「滑稽」を本質とする文芸。発句(ほつく)・連句・前句付・俳文などより成る。室町末期の山崎宗鑑・荒木田守武らによる滑稽・卑俗な作風を受け,江戸時代に松永貞徳が出て独自なジャンルとして確立。談林俳諧を経て松尾芭蕉の蕉風に至って文学的に高められた。

 


 

俳諧の用語
語彙読み解説
挙句あげく最後の短句の名称。あっさり、きっぱりと詠み、後に続かないように作る。
韻字留めいんじどめ脇句を漢字で書き表せる言葉(名詞・動詞など)で結ぶこと。字留め、文字留め。
うら懐紙式の懐紙2枚の、それぞれの第2ページのこと。歌仙では、初裏と名残の裏がある。「裏」「ウ」と略す。
折立おったて
・おりたて
例えば歌仙で、初折裏、名残の折表、名残の折裏、それぞれ最初の長句を言う。
折端おっぱし
・おりはし
例えば歌仙で、初折表、初折裏、名残の折表、それぞれ末尾の短句を言う。
おもて懐紙を二つ折りにしたときの、それぞれ第1ページのこと。歌仙では、初表と名残の表がある。「表」「オ」と略す。
表合わせおもてあわせ俳諧の短縮形式。歌仙では、表六句で満尾したもの。
表六句おもてろっく歌仙で、表の6句のこと。神祇・釈教・恋・無常は詠まない。
懐紙式かいししき懐紙を半分に折り、折り目を下にして、表と裏に句を記す。
歌仙は二枚用い、一枚目を初折、二枚目を名残の折と言う。
初折の表に6句、裏に12句、名残の折の表に12句、裏に6句と、36句を分けた。
歌仙かせん長短合わせて三十六句のもの。三十六歌仙にちなむ名称。
切字きれじ

句の切れ目にある字。芭蕉は、「初学の人、切字に惑へり。発句治定のときは、切字自ずからあり」、また「切字に用ひる時は、四十八字皆切字也。用ひざる時は、一字も切字なし」と言う。例えば「めにはあお/やまほととぎ/はつがつ/(目には青葉山時鳥初松魚 素堂)」の「ば・す・を」であり、「う/わか/まりこのしゅくのとろろじ/」の「め・な・る」である。

宗祇は、「かな、けり、もがな、し、ぞ、か、よ、せ、や、れ、つ、ぬ、へ、ず、いかに、じ、け、らん」を挙げ、現代の俳句は、「かな、や、けり」を挙げる。

初折しょおり懐紙式1枚目のこと。表と裏がある。「初」と略す。
第三だいさん3番目の長句の名称。発句・脇の世界から転じる。
「に・て・にて・らん・もなし」などで止める。
起句たてく発句のこと。立句。
名残の折なごりのおり歌仙で懐紙2枚の内、2枚目のこと。表と裏がある。「名」と略す。本来、「後の折」と言う。
俳諧はいかい五七五の長句に七七の短句を連ね、さらにその短句に長句を連ねることを繰り返し、合作すること。芭蕉の時代、古式の俳諧を「俳諧の連歌」と言った。誹諧とも書く。
半歌仙はんかせん歌仙の短縮形式。頭半分の18句からなる。
平句ひらく発句・脇・第三・挙句以外の名称のない句を言う。
発句ほっく1番目の長句の名称。起句・立句とも。当季の語が必須。切れを持たせる。「客発句、亭主脇」と言うので、客が発句を詠むと誤解されている。発句が客の位という意である。句の性格上、表六句の縛りは及ばない。
三つ物みつもの俳諧連句の省略形または圧縮形で、発句・脇句・第三の3句からなる。時間の制約がある儀式や旅先で行われる。歳旦三物など。
わき2番目の短句の名称。脇句とも。発句と同季で、発句に内容を添えたり、季を定めたりする。多くは韻字止め。

俳諧資料
目録
芭蕉 発句集 芭蕉の発句(単独の俳諧)を五十音順に示した。
芭蕉七部集の連句 芭蕉七部集の連句と読みを示した。
芭蕉七部集の連句(訳) 芭蕉七部集の連句について、訳・解釈を示した。
蕉門関連俳書 芭蕉に関連する俳書を中心として、五十音順に示した。
江戸時代俳人 江戸時代の俳人を五十音順に示した。
芭蕉翁出座俳諧 芭蕉が一座する俳諧連句を時代順に示した。



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