俳諧ガイド 目録

俳諧のあらまし俳諧の歴史俳諧の形式俳諧作法
歌仙系百韻系発句作法脇作法
第三作法初表作法平句作法・付句名残裏・挙句作法


俳諧の作法

俳諧の作法 索引

芭蕉作法書
伝書
芭蕉俳諧の作法・式目誹諧埋木山中問答
二十五箇条蕉門俳諧師説録元禄式、巻之三
蕉風作法書
伝書・研究書
去来抄 故実・修行教秘蘊集宇陀法師
俳諧有也無也之関発句小鑑・付合小鏡貞享式海印録
俳諧作法
式目
俳諧作法・式目について
発句第三初表平句
初裏名残表・裏挙句月・花・恋

 



俳諧作法書
芭蕉俳諧の作法・式目について
 「芭蕉俳諧の作法・式目」の書が見あたらない。
 しかし、諸書から芭蕉の言葉を拾い集め、後人の我田引水・牽強付会があれば、実作に照らし検討する。そうすれば、その中に「芭蕉俳諧の作法・式目」は、ある程度見えてくるだろう。
芭蕉直伝作法書
説明 芭蕉の師、季吟の編、貞門の伝書。芭蕉は、延宝2(1674)年3月に伝授され、これを礎として蕉風を形成する。
北村季吟

明暦2(1656)

うもれぎ
北枝。奥の細道、山中温泉での聞書。芭蕉も閲覧。付方八方自他伝は北枝の研究。
立花北枝

元禄2(1689)
元禄5(1692)

やまなかもんどう
はっぽうじたでん

去来への伝書。後に支考が入手、板行。概ね芭蕉の言葉。
元禄7(1694)

にじゅうごかじょう
伝越人編。門弟の聞書集。鳳朗板。
元禄7(1694)稿

しせつろく
去来伝受。
元禄3(1690)
げんろくしき
区分誹諧埋木山中問答二十五箇条蕉門俳諧師説録元禄式
発句本歌の発句句の姿発句季に用る発句案じ方
詩の心の発句発句像やう
本説の発句発句の時は季
ことわざにてせし句
切字 発句の切字切字発句に切字切字の事
切字に口伝
脇に韻字脇の句法
第三哉止め発句の第三第三第三に手尓葉第三の句法
第三
4句目4句目他4句目軽事四句目
構成
配り
曲節地起定転合心得の事 初表初表
初折
二の表心得の事 初裏
三の折
名残折 名残の裏名残の折名残表の事挙句
名残裏の事
月花の事月の句
宵闇の句
月花の事花の句花の句
花に桜
恋の句恋の句恋句
名所名所に雑の句
区分埋木山中問答二十五条蕉門俳諧師説録元禄式
古典引本歌ことわる俳諧
付合皮肉骨付方八方自他伝当季案ずる事付合
真草行
親句疎句付句案じやう
篇序題曲流
十体趣向を定る
去嫌 指合去嫌指合
指合繰る
去嫌
催し祝儀祝言の心得催事催しの会
句作有文・無文俳諧の姿当季案ずる事季のこと
音数二五三四工夫は平生二季に渡るもの水辺
句の姿趣向を定むる雑説連歌の詞
文法手爾於葉仮名遣ひ文章の事
俳諧論
心構え
誹諧といふ事正風俳諧の心俳諧の道風雅
道理と理屈
六義道草の花誹諧と俳諧俳の字
風雅
風賦比興雅頌謡ひもの変化変風の俳諧
虚実虚実俳諧の式
事例辛崎の松句
鳶に鴟の句
区分埋木山中問答二十五条蕉門俳諧師説録元禄式
関連
資料
白砂人集俳諧寂栞・抄十五箇条誹諧之秘記
誹諧小式北枝資料三四考、芭蕉口授

芭蕉後の作法書・伝書・研究書
去来抄
先師評
同門評
故実俳諧の法式てには止脇・字止第三無季発句の興行発句に切字
修行教不易流行修行修行者教え案じ所新意・本情
案じ方句勢句姿句走り付方三変移り・匂い
響き位付面影付句千万景色物付、心付
蕉門の付句付方巻の展開付物風は変ず
発句の良し悪し発句と付句 寂  位 しおり、細み
秘蘊集
不易流行歳旦・三つ物発句、真行草・懸合発句、鴬・時鳥
切字無し発句竪題・横題新題撰出脇・第三、止まり・すみのてには
付味の大事・十七体等類・新古執筆・文台、本式俳諧の連歌
付 星月夜について付 木枯の扱いについて裏白連歌
宇陀法師
誹諧撰集法当流活法巻頭 並俳諧一巻沙汰「たとへば、」以下
俳諧有也無也之関
十八体発句縦横姿情虚実正不易流行発句五品
発句八体奉納伝三品第三古式・新式付合口訣
付合八体七名八体の転句五花の口訣月の伝
月、七夕の伝月次の月月に蛍名所前後の月・花本式表十句
俳諧発句小鑑
発句案じ方趣向をとる理屈をぬく初の字色字丁寧手尓葉違ひ
一字褒貶放題乞食袋古瀬の新水撓めの句法等類
俳諧付合小鏡
三物の解煙草盆説恋、上中下恋、初中後恋、付句付合三儀付合四道執中之法
付句に季をむすぶ事月花の事色字之事邪正之事三句目之事俤の句、故事・故歌
畳字序破急付句に新古なき事一座案じ方恋の句数仮名遣ひ
貞享式海印録
索引貞享式海印録 総索引資料引用俳書去嫌まとめ
巻一発句・脇第三・三物・表合せ巻二去嫌総論他去嫌各論
巻三恋・名所神祇・釈教時分・時節
巻四日・星植物・生類
巻五同字・留字てには体言・用言面去体用言
巻六数字書体自他・変格変格



俳諧作法

俳諧作法・式目について

<芭蕉俳諧の作法・式目>

・ ここに挙げる作法・式目は、以下のものである。

 ① 芭蕉が引き継いだ「埋木」などに示されたものの内、芭蕉俳諧の実作で確認できたもの。

 ② 芭蕉の伝という「山中問答」「二十五箇条」「師説録」「元禄式」などに示されたものの内、芭蕉俳諧の実作で確認できたもの。

 ③ 蕉門及びそれに類する人たちの示すものの内、芭蕉俳諧の実作で確認できたもの。

・ 以下、「俳諧」は、断りがないかぎり「芭蕉俳諧」を指す。

俳諧の作法・式目
発句

① 俳諧の第1句。発句は、手強く俳意たしかに作り、句柄を丈高くする。
 ・ 一字もおろそかに置かない。句にしおりのあるように作る。
 ・ 発句は頭よりすらすらと、言い下し、金を打ち延べるように作る。
 ・ 初心のうちは、ものを取り合わせて作る。
② 先づ趣向を求め、次に案法を求める。案ずるには、先づ題にするものを、胸中に画いて見る。理屈で案じてはならない。
 ・ できた句は、「誰もがもっともだと感じるか」と振り返るとよい。

③ 発句は十七字で切る。切るとは、「一句の中で、言葉が留まって、様々な余情を含むところ」を言う。
 ・ 「切字」を入れずに切れる句がある。切れるなら、「切字」を入れる必要がない。
 ・ 切れていれば、四十八字、皆切字と言える。
 ・ 蕉門の切字は、一句を裁ち切るものではない。

④ 発句は、当季の語句を入れる。また、入れないこともある。

⑤ 「客発句、亭主脇」は、句の位であり、詠み手のことではない。能に例えれば、「発句シテ、脇句ワキ」である。
 ・ 初対面など、来訪者が自己紹介の挨拶句をすることもあるが、脇句の返礼は一例もない。脇作者自身の思いを込めては発句を無視することになる。
 ・ 「発句の提示」が挨拶そのものである。

→「発句作法」参照。

① 俳諧の第2句。最初の短句(七・七)。句柄を丈高くする。
② 発句を見定め、韻字で止める。
 ・ 韻字とは「意の対する字」を言い、発句の魂を言い表す「眼字、釘語」の名。「止める」とは、句末に置くことではない。
③ 句末は、名詞・動詞・助詞・助動詞など自由。但し、儀式・行事の俳諧、貴人などの発句に、「てには止め」はしない。
④ 発句の季に添い、当季の語句を入れる。発句が雑ならば、入れない。
 ・ 発句の季語が三月に渡る場合、初中晩を定めることがある。当季であるから、発句の季が初なら初となる。
 ・ 発句の余情・景色を言い表し、発句を立てる。発句の趣向をとらえ、一層の風情を加える。
⑤ 「表六句の制約」は、発句に随う。
⑥ 「客発句、亭主脇」は、句の位であり、詠み手のことではない。
 ・ いかなる場合も、脇の作者の思いを詠まない。
⑦ 「脇五体」は、単なる付け方の区分。脇で趣向を立てるのではない。

→「脇作法」参照。

第三

① 俳諧の第3句。長句(五・七・五)で、丈高く作るが、半節・半曲である。
② 当季春秋の場合、発句の季に従う。当季の語、季の詞・季語を一つは入れる。
 ・ 当季夏冬の場合、第三の多くは雑だが、当季でもよい。季移りも可能である。
④ 第三は、「表六句の制約」に従う。
⑤ 発句脇の世界から転じ、次の句を及ぼす心で詠む。
 ・ 第三は「て」で止めることが多い。
 ・ 体言に付く場合「にて」になる。
 ・ 「て」を省略した用言連用止め、「にて」を省略した体言止めもよい。
 ・ 「らん」「なれや」「もなし」止めも散見する。
⑥ 「客発句、亭主脇」と言う場合、「第三」は相伴人の位である。
 ・ 「発句シテ、脇句ワキ」なら、第三以下は「囃子方」である。

→「第三作法」参照。

初表

① 初表とは、懐紙式初折の表の略で、歌仙の場合発句から第六句までである。
② 初表は、「目立つ・耳だつものは詠まないという表の制約」に従う。この制約は、発句及びそれに随う脇を除く。

 ・ 目立つものとは、「神祇・釈教・恋・無常、述懐の内重いもの・旅体の内名所」である。
  ※非神祇・非釈教、軽い述懐、旅体については、「俳諧の決め事/句の用語」参照。

 →「貞享式海印録巻、去嫌まとめ/神祇以下」参照。

③ 月の句を一つ詠む。

 →「俳諧の決め事、月の句」参照。

④ 歌仙初表の一部として、芭蕉は次のものを残す。
  ㋑発句脇の付合、46。 ㋺三つ物、35。 ㋩四句物、8。 ㋥五句物、2。 ㋭ 六句物、15。
   ・ これらは、旅先・行事・儀式など、時間的制約があるときのものである。
   ・ また、特別な形ではなく、連衆の数によって句数が異なるとしたほうがよい。

→「俳諧の形式と芭蕉、表六句以下」参照。


⑤ 4句目は趣向を軽くするが、会釈ではない。また、第三が軽いときは、重くする。
   ・ 4句末は、「なり・けり・たり」や「なり」を省略した体言・用言などで結ぶことが多い。

 →「「俳諧の作法二十五箇条資料。芭蕉七部集、脇/第三/四句目」参照。


⑥ 5句目は第三のように丈高くするか、用言の連用中止で言い流す。
   ・ 5句末は、打越の第三を見定め、、別の助詞・助動詞か、「て・にて」を省略した体言・用言で結ぶ。


⑦ 6句目、軽々とした幽玄体で付ける。
   ・ 6句末は、打越の4句目を見定め、「なり・けり・たり」を省略した体言・動詞終止形などで結ぶことが多い。

→「初表作法」参照。

平句

付句

① 発句・脇・第三・挙句以外を平句(ひらく)と言う。
② 平句は、曲節のない平生体に作る。趣向の深浅、雅俗にかかわらない。
③ 初表4~6句目に心得あり。 →「初表の作法、資料4・5・6句目」参照。
④ 初裏は、初表の規制を緩め、神祇・釈教・恋・無常などを許す。
⑤ 名残表は、遊びどころで、華やかな句を求めおかしみを案ずる。
⑥ 名残裏は、時間を掛けて一座の興をそがぬよう、新しみのあるあっさりとした句を出す。

⑦ 月の句を4面の内3面に一つずつ詠む。 →「俳諧の決め事、月の句」参照。

⑧ 花の句を2折に一つずつ詠む。 →「俳諧の決め事、花の句」参照。

⑨ 恋の句を2箇所に詠む。 →「俳諧の決め事、恋の句」参照。


⑩ 脇は韻字、第三は「て」で止める。 →「決め事/付け
⑪ 移り・響き・匂ひ・位で付けるのがよい。  →「決め事/付け/付けの観点1、移り・響き・匂ひ・位
⑫ 付筋の変化を旨とする。変化のため、指合・去嫌も尊重する。 →「決め事/付け/去嫌指合一覧
⑬ 案じ方、趣向の定め方に心得あり。 →「決め事/付け/付けの観点2、付け方
⑭ 人情の自他は、前句と付句の間に存在するものである。句単独で判定できないことが多い。 →「決め事/付け/付けの観点3、人情自他

→「平句作法・付句」参照。

名残裏

 ① あっさり、きっぱりと詠み、一巻を収める。

 ② 仰々しい言葉を避けるが、平淡過ぎぬよう配慮する。

 ③ 一座の興をそがぬよう、付けの工夫に時間を掛けないが、付けが大まかにならないよう留意する。


 ④ 挙句は、「発句主・亭主(脇主ではない)」はしないが、例外もある。

 ⑤ 挙句に発句にある漢字(仮名は相当する漢字にしてみる)を用いない。但し、「春」の字を除く。

 ④ 挙句は、一座の興をそがぬよう、すぐに出す。必要があれば、後で付け直す。

→「名残裏・挙句作法」参照。