俳諧発句小鑑

俳諧発句小鑑 索引

(序)発句案じ方の事趣向をとる事句に理屈をぬく事
初の字の冠りの事色字の事丁寧の事手尓葉違ひの事
一字褒貶の事放題の事乞食袋の事古瀬の新水の事
撓めの事等類の事故人四時(発句集)凡例
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俳諧発句小鑑 蓼太述/門人 三鴼著   天明7(1787)年序

<解題>
 蕉門俳諧の難解な俳論の中で、最も簡明な作法書。蓼太は、蕉風復興を目指す天明中興五傑の一人。
 底本は、「俳諧発句小鑑・俳諧付合小かゞみ 佐々醒雪・巌谷小波校、俳諧叢書第4冊、博文館、大正3」。国立国会図書館蔵。


<蓼太略歴>

大島蓼太(りょうた)。通称平助、雪中庵三世。二世吏登門(初世嵐雪)。天明中興の五傑の一で、富麗な作風。門下に沙羅・花嬌・乙児、他三千余。句集・著書多数。
享保3(1718)年生、芭蕉没後23年、嵐雪没後10年。天明7(1787)年没、70歳。


雪中庵蓼太の俳論

(序)

 月雪の水にうつるや、花鳥の壁に画けるや、山河万里を摸しては、人をしてよろこばしめずといふことなし、こゝに我師蓼太老人、敢て弁を好むにはあらねども、我が問ふまゝに答ふ事、便々と言泉流れて懸河に及ぶ。
 我れこの流れに随うて、一管を執りて、発句の風姿をうつし見るべき鏡をなん探し出せり。此みちに遊ぶ輩や、是に向うて襟を正し、己れを磨くものならば、画中より竜をも生じつべし。若しうつす事もなく、正すこともなくば、鹿をも犬をも人とやはみむ。
 かしこくも我党の人々は、この鏡を開きてちりを払ひ、光りを清めば、彼の膽を照して、其の病を見るが如くなるべしやと、しかいふ。
  天明七年未季春                     雪太郎三鴼

俳諧発句小鑑

◇ 発句案じ方の事


 翁云く。発句案ずるには、先づ題に結ばむと思ふものを、胸中に画きて見るべし。絵は鏡にものの映るがごとく、あるひは梅に社頭、あるひは桜に寺院とも、姿あきらかなり。これを鏡花水月の案じ方といふなり。

 蓼太、かつて南総の浦づたひせしことあり。頃しも暮秋にして、山の姿、浦の景色すさまじかりければ、
   秋風や碇もなびくものゝ数
といへる句を得たり。道のほど一里ばかり行くに、この句言ひ尽くしたりと、
   あきかぜや碇もなびく花薄
 かく再案したれば、させる句にはあらねども、捨て碇に一むら薄の墨絵となりて、浦山の風情、言外に見えたり。ただ、句は、言ひ尽くすまじきものなり。 又、雁を描くには、飛・鳴・宿・食の四格ありとて、たまたま心得たる画師の、飛ぶ所、鳴くところ、宿りたる所、あさる処、ひとつひとつ書き尽くしたる、何を見所とせむや。

  先、あさる芦辺の友にさそはれて
   空ゆく雁も又くだるなり

 かく四つの物を、二つ残したらむには、茂りたる芦の陰に求食る(あさる)も宿るもあるべし。上手の画は、画外に画有り。上手の詩歌は、言外に風情を備ふ。これを思ふべし。

◇ 趣向をとる事       ↑ トップへ


 或やんごとなき方の仰せられしは、「先づ恋の題を得て歌詠まむとおもふには、我が恋する人をひとりむかふに立てて、その人に深く思ひ入りて、逢ふ恋、あはざる恋、或は忍ぶ恋にもせよ、実によむべし。題と思ふべからず」と、教へ給ひぬ。
 誠にありがたきことなり。
    忍ぶ恋
   夏痩と人にこたへるなみだ哉

 かく題中に向うて、趣をとるを趣向とは申すなり。

◇ 句に理屈をぬく事       ↑ トップへ


 発句は、理屈より案ずべからず。理屈は勿論なり。古人、句に絵をもて教へ給ふは、理屈を抜きて、自然の風姿にうつさんがためなり。

 昔、ある初学の人、
   刈残すあやめは水の深み哉
 其角に見せて、「これにても先生の添削にて発句に成り候ふや」と、其角、やがて筆を取りて、
   刈のこす菖蒲は鷺の深み哉
 されば、鷺の一字をもつて、たちまち沼の真菰の水越して、この鳥の求食りかねたる風情あり。巧拙はおいていはず、発句にはなりたるべし、これを死活の句法といふ也。 又、理屈の句とは、
   蝿を追ふ馬にあぶなき眠り哉
   茸狩や少しは蛇に心おく
   昼寝して手の動きやむ団扇哉

 このたぐひ、みな尤もにして、発句とはいふべからず。

◇ 初の字の冠りの事       ↑ トップへ


 先師云く。近来の初雪、初桜、初雁のたぐひの句を見るに、皆初の字の理屈にして、少なき事を専らにいひ、題意より出でたる風姿まれまれなり。

   此江戸に只二本とや初鰹
   はつ雪や木賊の節に少しづつ
   はつ雪や山へ配れば野にたらず

 これ等の句、一作備へたれど、例の少なき事をいひて、初の字の理屈を離れず。
   鎌くらは生きて出でけむ初松魚
   はつ雪や内に居さうな人は誰れ
   初雁やおのづから目の覚め時分

 これ、古人の佳境なり。いづれも自然に初の字を得たり。深く味はうて、ここに至るべし。 先づ、初の字は、その題の賞語なりと知る時は、理屈を離るべし。

◇ 色字の事       ↑ トップへ


 袋草紙に、紀斉名(きのただな)と江以言(「こうのこれとき」と振る、大江もちとき)名を等しうす。かつて同省賦を奉るに、「秋未詩境(秋未ダ詩境ヲ出デズ)」といふ事を賦す斉名が詩に、

   霜花後発詞林暁  風葉前駈筆駅程
 以言が詩に、
   文峰按轡駒過影  詞海艤舟葉落声
   ※艤:ギ、ふなよそおい

 具平親王(ともひらしんのう)ひそかにその草稿を見て、「駒過影」を以て「白駒影」となし、「葉落声」を改めて「紅葉声」となして、両韻並び出づるに及びて、人皆、以言が詩を以て勝り(まさり)たりとす、かくの如く、色字に句の秀でたることを知るべし。

    五色
   竹青し木青しひとり閑呼鳥
   ほろほろと山吹ちるか滝の音
   紅梅や見ぬ恋作る玉すだれ
   白雪の中に火とぼす野寺哉
   黒きものまた常盤也はつ烏

◇ 丁寧の事       ↑ トップへ

   凩の地にも落さぬ時雨哉
   昼顔や砂に鰯の反返り

 初めの句は「地まで落さぬ」とありしを、翁の添削にて「にも」と直りて、句勢格別なり。
 後の吟は、初め「干鰯(ほしか)」と句作せしを、嵐雪呵り(しかり)て「など鰯とせざる」と筆を入れられて、一句のぬしとなれり。誠に丁寧は君が徳を指す。

◇ 手尓葉違ひの事       ↑ トップへ

   繋げとて心の駒に炬燧哉
    風の柳の讃
   吹けばとて柳を虎の姿哉

 はじめの句は、予が句也。若かりし時吟ず。師、手尓葉違ひの由を示し給ふといへども、さも覚えず。ほど経て、漸う(ようよう)合点まゐりたり。「繋げとて心の駒に炬燵をや」とか、又「置ごたつ」とせば、佳ならむ。
 後の句、「柳を虎の姿とは」とせば、据わるべし。

   虚空の何につかへて柳かな ※うつぞらの
   何人の尸埋めて花野かな  ※しかばね

 初めの句「雲につかへて柳哉」、或ひは「何につかへてたれ柳」ともせば、一句落着して据わるなり。  その次の句は、「尸埋めて花野原」とせば佳なり。  又、沓の景物を定めて、「をみなへし」「萩の花」ともせば据わるべし。

 或人の云ふ。

 「芭蕉の句に、
   何の木の花とはしらず匂ひ哉
 この句も、『何』と置きて、『哉』と留めたり。何のかはりめありて留まるや」

 答へ。「この句は、『何の木の花とはしらねども、さてもうづ高き匂ひかな』といふ心なれば、別けて『哉』、据わる也。伊勢神法楽(いせかみ、ほうらく)の趣味、見るべし」
   何ごとのおはしますかはしらねども
              かたじけなさに泪こぼるゝ

 西行上人、参宮のとき詠める秀歌なり。この歌の心をとりたる発句なり。

◇ 一字褒貶の事       ↑ トップへ

   おもしろうて頓て悲しき鵜舟哉 ※やがて
   冬牡丹鵆よ雪のほとゝぎす

 初めの句を、翁初案に、「果は悲しき」とし給ひしを、後に「頓て」と置きかへ給ふとぞ、蓼太、かつて長良の鵜飼一見せしに、七艘の鵜舟、遙かの山陰(やまかげ)より遣ひ出でたるありさま、篝火稲葉山に映じ、げに罪も報いも忘れはてて、おもしろしとみるほどこそあれ、鵜飼どもの、疲れたる鳥を引き上げ引き上げ、咽をしぼる風情、叫喚の責めを見る心地せられて、「頓て悲しき」の七文字玄妙なり。「果ては」といふは手ぬるからん。唯、眼前に地獄を見るが如し。
 冬牡丹の句は「千鳥よ」といふ所、「や」とも動くやうに心えたりしが、つくづく句意を探れば、「よ」の一字ならでは、かなふべからず。この鳥を「雪中の時鳥」と誉めたる句なれば、「鵆『よ』汝は雪の蜀魂(ほととぎす)」と、一字入れて聞く時は、句意あきらかにして玄妙なり。よつて、一字の褒貶とはいふなり。

◇ 放題の事       ↑ トップへ


 放題とは、譬へば、梅の句の桜にうごき、さくらの句の海棠にもなるをいふなり。発句は、其のものそのものに、他に動かざるをよしとす。彼の「雷電」の謡に、「菅丞相本尊の御前に、手向けたる柘榴をおつ取つて噛み砕き、妻戸にはつとはきかけ給へば、柘榴たちまち火焔と成りて、扉にはつとぞ燃えあがる」とあり。
 諷ひものながら、手向けものの風姿を、よく定めたり。この時の菓、柿・葡萄・りんごにもせよ、中々火焔とはならず。柘榴の外あるべからず。これを思ふべし。

◇ 乞食袋の事       ↑ トップへ

一 この一條は俳諧をせん人、強ひて学問にも寄らず、飛花、落葉、人の善悪、天地の盛衰、旅の哀れ、万事を拾ひ入れて置く事なり。

    出羽の国尾花沢にて
  涼しさを我宿にしてねまる也

 挙白集、はじめて吾妻へ行きける道の記に、「しどけなきことども語りて、今しばしねまりまうすべいを、某が旦那のえらまからむとて立ちぬ」とあり。すべて、関東の田舎にて、ゆるゆると座るといふことを、「ねまる」と云ふなり。

  初霜に何とおよるぞ舟のうち
 能狂言「靭猿」の歌行に、「舟の中には何とおよるぞ苫を敷寝の楫まくら、たなを見よやれ。船のせがいに、つゝ立ちあがりて」とあり。

  五位六位色こきまぜよ青簾
 源氏「若紫」の中に、「見もしらぬ四位五位のこき交ぜに、出入りつゝ」とあり。

   荒海のいかれる時か乱れをこ
 「帚木、雨夜の品さだめ」に、「あら海のいかれる魚の姿、唐国のはげしき獣」とあり。皆これらの乞食袋なり。

◇ 古瀬の新水の事       ↑ トップへ


 この一条は、「行く水の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」。句は、唯この心して、言葉古く心新しく案ずべしとなり。譬へば、「子規の音の珍らし」とは、千載の人情なるを、
   聞くたびに珍らしければ郭公
              いつもはつ音のこゝちこそすれ

 言葉は、古き事をあつめたれど、いつも初音といふ所にあたらしみをして、感動なさしむ。されば、初音の僧正と今の世までも言ひ伝へるは、三井寺永縁僧正の事にぞ侍る。

 又、この歌の甘味をなめて、
   ほとゝぎすくり返しては初音哉
   十日には十の初音や時鳥

 などいへる句の、折々聞こえ侍れど、みなこの僧正の糟粕をなめてとる所なし。

 かかる境の捨てがたきを、大津の尚白、
   是は又あまり雲井の蜀魂
 とは、俳諧の一体にして、詩歌のねばりををどり出でたりといふべし。

◇ 撓めの事       ↑ トップへ

    旅にて人に別るる時
   二羽連れて鳴くときさへも閑呼鳥ぞ
   此あたり目にみゆるものは皆涼し

 初めの句は、ただ閑呼鳥といひても同じ作ながら、「ぞ」と一字撓めたれば、感情深し。
 後の句も「眼にみゆるものと斗り」は、句意かろがろし。「は」と一字撓めて、その辺りの風情、残らず涼しきやうなり。これを撓めの句法といふ。

◇ 等類の事       ↑ トップへ


 中院通茂(なかのいんみちしげ)公、御夜話に、
「此程世にめづらしきことやある」
 と御尋ねに、ある人
「只今笠附(かさつけ)と申すことのはやり候、このごろの題に『あの人』と云ふ笠あり。
 何ものの附にや、
   あの人は壬生の猿ぢやが茄子売(なすびうり)
 点者、これを勝句に出だし候ふ。又、その次の会に、『また出た』と云ふ笠を出し候ひしに、
   又出たは壬生のさるぢやが茄子売
 と附け候ふを、また高点にいたし候。等類の句にて、何のちからもなげに聞え候ふ。何所をおもしろく承はり候ふや」と、申し上げれば、仰せに、
「先の句は『ぢやが』と云ふ所に作をこめたり。当分(当座)に見て言うたものにあらず、年々見知りての心なり。次の句は、『ぢやが』といふ所軽し。その故は、前の句をかりての事也。『茄子売』と云ふ所、先の句より又重し。かかる所を聞きわけぬ人は、歌の批判、別て等類の沙汰おぼつかなし。よくよく心得よ」と仰せられしとぞ。
 すれば、今時我等ごときの言葉の似たるをもて、等類の沙汰するは、またまた覚束なきことどもなり。このあたり、深く味はふべき事にや。


故人四時 (発句集)       ↑ トップへ

  古池や蛙飛込む水の音      芭蕉
  梅一りん一輪ほどの暖さ     嵐雪
  鴬の身をさかさまに初音哉    其角
  出る日やぬれ色霞む伊勢の海   涼菟
  捨舟の主こそ出れ松かざり    雷堂
  長松が親の名で来る御慶かな   野坡
  元日やされば野川の水の音    来山
  読初めや金拾へりと橋の札    百万
  うぐひすや雑煮過ぎたる里続   尚白
  鴬の鳴いてみたればなかれた歟  作者知らず
  痩果てゝ香に咲く梅の思ひ哉   去来
  青柳や二すぢ三筋老木より    柳居
  木兎のねぶり落ちたる柳哉    琴風
  青柳のゆりくたびれて動かぬ歟  千翁
  雁の声朧々と何百里       支考
  麦喰し雁とおもへどわかれ哉   野水
  大原や蝶の出て舞ふ朧月     丈草
  清水の上から出たり春の月    許六
  板橋の音しづかなりおぼろ月   吏登
  久かたの光りこぼれて小蝶哉   六窓
  駒鳥の声ころびけり岩の上    園女
  滝壺に命打込む小鮎かな     嵯峨田夫為有
  春かぜや麦の中ゆく水の音    木導
  春の海終日のたりのたり哉    蕪村
  出代やこなたの雨もけふ斗    里ん
  薄曇けだかく花の林哉      信徳
  鐘楼あり扨は桜もちる合点    珪琳
  いつはりのなき世也けり松に藤  人左
  けふ限の春の行方や帆かけ舟   許六
  眼には青葉山ほとゝぎす初鰹   素堂
  亭主の夜少し残てほとゝぎす   百里
  鳴くにさへわらはゞいかに郭公  赤右衛門妻
  春雨の今に降る也かきつばた   班象
  蜀魂なくやひばりの十文字    去来
  似合はしき芥子の一重や須磨の浦 杜国
  けしの花咲きにけり又散りにけり 乙児
  飛込んだまゝか都のほとゝぎす  丈草
  松島や鶴に身をかれ郭公     曽良
  閑呼鳥我れも淋しいか飛で行く  麦林
  海山に五月雨そふや一くらみ   乙州
  湖の水増りけり皐月雨      去来
  尋ねあはでや帰るらむほとゝぎす 吏登
  鵜遣ひは夢にも鵜をや遣ふらむ  氷花

  荒れにけり奈良の都の渋団扇   松閣
  昼顔や旅は憂ものと思ふとき   作者しらず
  日の岡やこがれて暑き牛の舌   正秀
  誉めて居る雨から出たり夏の月  山幸
  突かせばや百会あたりへ心太   百人
  かつくりとぬけ初むる歯や秋の風 杉風
  落つる日のいそぎや桐の二葉迄  超波
  行水の捨て所なき虫の声     鬼貫
  秋もまだ二日月夜や峰の松    支考
  海を衝く沖中川や秋の水     魚文
  秋かぜの枯らし初めや鹿の角   蟻考
  百生や蔓一筋の心より      千代
  名月や桔梗刈かや女郎花     吏登
  明月や夜半に水うつ魚の店    蒼狐
  命二つあらば身投げむ月の湖   吏由
  岩端やこゝにもひとり月の客   去来
  明月や心ひとつの置きどころ   月巣
  鶴の巣もやぶれて秋の風高し   吏登
  欄干に昇るや菊の影ぼふし    許六
  ゆれ合うて水には満てり後の月  夜兎
  芦の穂や招く哀れよりもちる哀れ 路通
  片扉人まつ関や秋のくれ     信夫
  秋の暮灯やとぼさんと問ひに来る 越人
  追上げて尾上に聞かむ鹿のこゑ  北枝
  よせあへば笛と笛也闇の鹿    周竹
  遙かなる唐茶に秋の寝覚哉    宗因
  居風呂にもの入れてあり蟋蟀   希因
  暁や灰の中よりきりぎりす    淡二
  木がらしに二日の月の吹散る歟  荷兮
  一夜来て三井寺謡へ初時雨    尚白
  けふは扨春のやうなる枯野哉   栢莚
  鵙の居る野中の杭よ神無月    嵐蘭
  天地の噺とだえるしぐれかな   湖春
  炭竃やけふものこりて峰の松   吐月
  ちりひぢの又深山木やくだけ炭  連丈
  冬の野や嘶ひとつの雲の上    吏登
  熊坂が長刀あぶる霜夜哉     老鼠
  有明にふり向けがたき寒さ哉   去来
  己が身をまくらに鴨の浮寝哉   柴立
  むかしいつ武者六七騎門の雪   沾徳
  白妙やうごけば見ゆる雪の人   一品
  松杉の上野を出れば師走哉    馬光
  世の中は富士の裾野やけふの雪  不知作者

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凡例

区分

説明

底本「俳諧発句小鑑」、 [編著者:大島蓼太編/三鴼著]、 [出版:俳書房、江戸本右町十軒店西側、西村源六]、[版行:天明7(1787)年序]、<八戸市立図書館蔵>
表記等

1 なるべく原本に添って書き写したが、読み違えは多々あることと思われる。また、自分が読みやすくするため、以下の変更を加えた。

 ・ 適宜行換えをし、行頭は一字下げた。

 ・ 適宜句読点や括弧を加えた。

 ・ 漢字等、新字体があるものは、新字体に代えた。<發→発>

 ・ 一部、漢字を仮名にした。<句以外の「也」→なり>

 ・ 適宜仮名送りを変更した。<初の句→初めの句(本来始めの句)>

 ・ 適宜漢字を変更した。<居る→据える>



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